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2020.07.06

蜘蛛の糸は鋼より強い


7月6日(月)蜘蛛の糸は鋼より強い!
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6月18日のバイリンガルニュース第417回特別編、慶應義塾大学環境情報学部准教授 荒川和晴さんをゲストに迎えた配信でした。

荒川さんは生命を定義づけるためにクマムシの生態を研究する傍ら、”蜘蛛と糸”の研究を行っていて、この回ではクマムシの生態も(乾燥状態で代謝がゼロになり、水で戻せば生き返るなど)実に興味深く聴かせていただいたのですが、我々に身近な蜘蛛についての話もとても面白く、研究に対する姿勢自体の話は我々の日常にもよく当てはまるもので、今回はその思いへ達するに至るお話の概要について記します。


仮に蜘蛛の糸と同じ太さの鋼が作れたとして、顔についた蜘蛛の糸を振り払う感じで”鋼の糸”を触るといとも簡単に折れて破断してしまうのは容易に想像できるであろう。蜘蛛の糸は、しなやか。
鋼やセラミックなどの堅いものとゴムやビニールのような柔らかいものを比較したとき、一般的に前者は堅いけど伸びない、後者は伸びるけど柔らかい、という性質をもつことは誰でも理解できる。

蜘蛛の糸は、この両方の性質を持ち合わせている。柔らかくて伸びるが破断しない強さを持つ。鋼より強く柔らかい。
この性質を人工的に作り出すことができれば、材料の世界に大きなイノベーションを巻き起こすことが出来る。
ーーー
蜘蛛と糸の研究はまさにこれを目指して、徹底的に行われているのだそうです。
世界中の蜘蛛を集め、蜘蛛が糸を作りだすメカニズムやパターンを遺伝子レベルで解明する。遺伝子(DNA)の塩基配列、羅列されたAGTCの どの箇所をどういじる(例えば欠損させる)とアウトプットとしての蜘蛛の糸の性質がどう変化するか。この因果関係が、ほかに間接的要因を含んでいないぶん、他の分野で行う同様な(遺伝子を基本とする因果関係からインプットとアウトプットの関係を解明する)研究よりも明快になり、分かり易いのだそうです。

ところで
蜘蛛のカラダの割合は、頭・胸・腹のうちほとんどが腹で、その腹の構造はほとんどが糸を製造するための臓器となっている。蜘蛛の糸は、蜘蛛が生きていく上において、何よりも大切なもの。蜘蛛が糸を出せなくなったら移動も捕獲もできず、生命の危機を意味する。だから、蜘蛛は糸を体内で製造すること自体がすなわちライフワークであり、彼らはどんなに弱っても命ある限り最後の最後まで糸だけは作れるのだそう。
だから、体のほとんどを使って糸を作り出す装置になりきっているのだ・・・という説明を聞き、ちょっと感動を覚えました。

また、
蜘蛛の腹の先端には7つの突起があり、それはそれぞれ7種類の糸の専用出口。
蜘蛛の糸は、巣を作る材料として見たとき、巣の基本構造用は強くて堅い、歩く通路用はしなやかで強い、獲物捕獲網用はネバネバで柔らかく強い、獲物をぐるぐる巻きにする用は、柔らかくてネバネバ。移動や飛行用は軽くて強い・・・(合っているかは別ですが)そんな感じで糸の種類が分かれていて、しかもいくつかの種類を合成して別の性質の糸を作ったりするんだとか。
感動は膨らむばかり!日頃、どちらかと言えば嫌悪の対象だった蜘蛛がかわいく思えてきた!

荒川さんは基礎研究にしか興味が無い、すなわちそれで開発された材料の使い道やら商品といった応用には無関心なのだとか。

だからこそなんでしょうけれど。ここで非常に参考になるのは、DNAの塩基配列のところで言っていることですが、目的のものを新たに作り出すためには、元々ある基本となるもの(ここでは蜘蛛の糸)の製造過程のルールをしっかり知る必要があり、ルールを解明するためにはまず、因果関係を徹底的に明らかにしなければならない、ということ。
この蜘蛛の糸の塩基配列ではこの位置のこの塩基をこういじると、こんな性質の糸ができあがるのか・・・。
これを世界中の蜘蛛を対象に何億通りもやってみて、整理し、自然界のルールをまず知る。ルールさえわかれば、それを応用発展させ、では、もっとずっと強い糸を作るためにはこうしたらいいのではという次のステップへの足がかりになる。

まさに。
確かな原因究明、しっかりした現状分析がなければ、次へは進めない。
このことは今の社会に照らせば新型コロナウイルス対策しかり、我々の日常業務に照らせば労働災害の再発防止対策しかりなのであります。ある意味、当然のこととみんな知っているはずなのに、なぜか現状分析がおろそかにされすぎている。だから、有効な対策が打てず、起きてはいけないことが簡単に再発してしまう。

なるほどなあ。
こんなことを思い、いつものrunしながら、ポッドキャストを聴きながら、しばし沈思黙考してしまったのでありました。いつもながら、大変有意義な、マミ&マイケルの番組でありました。

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