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2009.04.28

『告白』

4月28日(火曜日)
Kokuhaku  「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2009年本屋大賞」受賞作『告白』(湊かなえ著/双葉社)を読みました。

 自分としては不満足、という感想をどういうふうな柔らかい表現で書こうかと少し考えましたが、素直に書くのが一番かなと思い、ストレートに記します。
 
 新聞の書評や、本の帯に書いてある書店店員の数々の熱狂的感想などから、相当凄いものと期待して読んでみたのですが、自分としては失望の一言。

 この本を読んだことが、自分にとって何の足しにもならない。血にも肉にもならない。自分の考え方、人生観などにほんの少しでも影響を及ぼさないし、共感するような箇所も何もない。その場合の最後の砦ともなる「救い」もない。

 読後感は最悪。

 新人とベテランで比較するのはお門違いかも知れませんが、例えば東野圭吾の「白夜行」なども性質的に似ていないこともないですが、壮大性において圧倒的に劣り、中途半端。「あるかもなぁ」と「絶対あり得ないな」の違いもある。
 子供達に、「この『告白』おもしろいから読んでみなさい」とは今は言えない。

 あえて、プラス材料を探して言えば、

うまく読者の興味をそそる作りになっているところでしょうか。
 他人の心の内面を伺うことができる、言葉は良くないかも知れませんが人間のいわゆる「のぞき見趣味」的な欲求を満足させるべく、前へ、前へと読み進ませてくれるテクニック。その点において、新人が書いたミステリとしては優れているといえるでしょうか。なんて偉そうな書評するほどのマニアではありませんが・・感想として。

 一つの事象に関わった数人の視点から、その事象に対する心の動きやそれに伴う行動を、一人称で章毎に綴る手法。
 それこそ「白夜行」でも取られているやり方で、ありがちかも知れないですが、上手く仕上げていると思います。

 でも、それだけです。

 ワイドショーや週刊誌で、有名人スキャンダルの意外な側面を色々な切り口で興味深く見せてもらったあと。知ったからと言って何の得も充実感もない、あの何とも言えない虚無感・脱力感と今回の読後感が、自分の中ではかなり似通っています。

 今回は1,072人の書店員がエントリーし、一次投票で全国327書店より411人の投票、二次投票で全国308書店より356人の投票。投票はベスト3を推薦理由とともに、とのこと。

 今の本屋さんの多くが、この本を一押しで読んで欲しいと考えたことに意外性と大きな違和感を覚えます。自分の感性が標準値と違うのかな?それとも、これを上回る良い作品がほかになかっただけなのか・・・。
(あっ、「告白」でウィキペディアは見ない方がいいです!かなり「ネタばれ」に近い内容を載せている!)

 ちなみに、自分が良いと感じる本は、上に記したこの本の感想の全く裏返しとなるもの、といえば分かり易いでしょう。

「本屋大賞」は2004年から始まり、
04年「博士の愛した数式」小川洋子著
05年「夜のピクニック」恩田陸著
06年「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」リリー・フランキー著
07年「一瞬の風になれ」佐藤多佳子著
08年「ゴールデンスランバー」伊坂幸太郎著

 となっていますが、自分は残念ながら04年05年の2作品しか読んだことがありませんでした。しかしこの「博士・・」「夜ピク」の2作品はまさに自分にとっては「最良」の部類の内容で、読んで良かったと思えたものでした。
 後に映画化やTVドラマ化されたことで触れた「東京タワー・・」にしても、暖かいものを感じる良い作品という印象。

 ちなみに04年~07年の大賞作品はいずれも映画又はTV化されているようです。

 全くの私見ですが、今年の大賞作「告白」は時間つぶしに読むのは良いかも知れないが、映画に出来ない。
 出来ないこともないでしょうが、メッセージ性のない三流娯楽映画程度にしかなり得ないと思います。
 映画化についてもうちょっと真面目に考えると、一部「報復の手段」に非人道性があり、その部分はやはり社会的許容範囲外と考えられ、映画では恐らく別の何かに置き換えられるでしょう。しかしこの部分は物語の太い幹にあたり、その意味では、映画化はやはり極めて困難と考えざるを得ません。

 ネガティブ評価を嫌う本Blogですが(そうでもない?;;)今回は失望のあまり、ちょっと書かせていただきました。

 いずれにしても、このBlogのすべてが全くの個人的主観で成り立っているわけですから、その意味で、ご容赦いただきたいと存じます。

余談ですが・・・
Honnkide  同時並行的に読んでいた「本気で言いたいことがある」(さだまさし著/新潮新書)ですが、これは素晴らしい!
 すぐに子供に勧めました。

 以前、「国家の品格」を読んだときに、「自分の考えに非常に近い内容が散りばめられている」という表現で絶賛したような気がしてますが、「本気で言いたいことがある」に至っては、まさに「これは俺が書いたのでは?」と思えるくらい、と言えば僭越ですが、自分の世界観、倫理観、人生観のようなとても大事な部分について感性が一致していて、しかもエッセンスをうまく抽出しつつ、分かり易い表現でまとめてある。

 さだまさしは、やはり文学的な才能、尋常ではありません。日頃自分が言いたいことの多くが(多少偏った部分含めて)この本で言い尽くされているように感じられるのです。極部分的に譲れないところで意見の相違はありますが、それは微々たるもの。

 何しろ、この本(=さだまさしの考え方)は自分に言わせると「共感できる」部門ランキング第1位です。

          * * *

去年の4月28日 高木美保さんが気になって

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コメント

ベストセラーは単行本では読まないで、文庫本が出るのを待つというスタンスですが、『告白』は2ヶ月前に買いました。あなたの言うとおりです。ネタバレになるので多くを語りませんが、趣味が悪いの一言です。さて、おすすめは『おっぱいバレー』です。2年前に読みました。これは単純におもしろい!映画はどうかわかりませんが、本は秀作です。

投稿: K君 | 2009.05.01 18:09

K君>
読書家のK君も同じ感想と知り、安心しました。
「おっぱいバレー」、映画は前評判ほどでなかったような報道も一部で見られましたが、本がお勧め!是非今度読んでみたいと思います。情報、ありがとうございます。

投稿: NAOMI | 2009.05.01 23:48

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