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2007.09.28

『海猫(下)』完読

9月28日(金曜日)
 札幌出張。珍しく?準備不足の割にはクリーンヒットを打てたような、そんな感じの出張で非常に有意義だった。

          * * *

Umineko_gekan  この度の出張JR車中で「海猫」を読んでしまうことができた。下巻に入ってすぐのあたりで映画版シナリオの部分(ある意味ではクライマックスの一つ)が終わってしまった。さてこれからどんな風に展開するのかと興味深く読んだが、結論から言って、実に良かった。

 この作品は、2時間やそこらの映画にまとめる性質の物語ではないのだ。本来、仮に映像にするならば、シリーズ化して、全編の詳細を余すところ無く視聴者に伝えるというスタンスが欲しいそんな物語。どっぷりと感動の渦に浸れる。

 映画版「海猫」がR15指定ということでもおわかりの通り、お色気シーンが多い。というよりはほとんどがそういう描写を絡ませ、愛というものを考えさせる、それが本作品のテーマと言っていいくらいの物語だ。したがって、テレビ版にすることは非常に困難だろう。そのシーンを割愛すればいいというものではない。全てが一体となって、大きなテーマを訴えるということになっていると思うから。

 とはいえ。
 この作品を、自分がこれまで出会った文学作品の極めて上位に位置づけられる、と、そこまで思えるのは、自分の生い立ちの環境に深く関係するからと言える。だから、誰が観てもそんなふうに感じられるとは全然思ってはいない。

 潮の香り、磯臭さ。港の風景、船の音。厳しい冬の海、穏やかな夏の海。玉石の上に干されたばかりの光る昆布、浜の作業場、「縄さやめ」作業するばあちゃんたちの真剣な顔とおしゃべり、するめ干場の大きな扇風機の音、漂う匂い、漁師の家の土間の感じ。山と積まれたとりたてウニの棘の動き。
 夏の海、遠くで聞こえる海猫の声、草いきれ、夏の海、夏の海、夏の海・・・・。

 ダイレクトに全身で、五感で、生活に密着した海を感じる、毎日のように。そんな境遇で育っていなければ、どんなに想像してもこのイメージに正確にたどり着くことはまず、不可能だろう。
 こんな環境で育ってこそ、この「海猫」という作品の真の風景が見えるのだと思う。

 函館~南茅部の漁村風景といい、様々な愛の形の描写といい、自分にとってはこの上なく素晴らしい作品だった。
 作者であり、自分と同い年の谷村志穂というひとに、是非会って話をしてみたいものだ。

          * * *

去年の9月25日 シーニックな夜
去年の9月26日 シーニックな日 
去年の9月27日 ファイターズ1位万歳!

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